今回は「台湾の会社が就労ビザを発行して日本人を雇う方法」についてご紹介します。
申請内容が雇用主目線となっておりますが、
台湾進出をするベンチャー企業の代表者の方
すでに台湾進出されていて、雇用主として日本人を雇用する方
だけでなく、
台湾で就職・転職する方
両方のお役に立てると思います。
また、最後に雇った日本人が離職する場合、会社が政府に提出する資料や知識も追記しました。
台湾で働いて暮らすには?
日本人が台湾で働くには、以下のビザどれかを取得し、台湾政府からの「労働許可」を得なければ働くことができません。
- ワーキングホリデービザを取得(打工簽證)
- 台湾人と結婚して配偶者ビザを取得(配偶簽證)
- 会社から雇用されて労働ビザを取得(工作簽證)
- 特定大学の留学生となり学生ビザを取得(學生簽證)
ワーキングホリデービザについて
ワーキングホリデービザは「アルバイト」ビザです。
そのため正社員になることはできず、給料も一般的な台湾人とおなじアルバイトの金額になります。
詳しくは、政府の公式サイトを参照ください。
▶︎日本人の台湾へのワーキング・ホリデー査証申請要項
学生ビザについて
また、学生ビザで仕事ができることを記載しているところは少ないですが、できます。
それには条件があり、私が以前通っていた国立台湾師範大学では、1年以上学生生活を行い、成績優秀者、かつ、経済的困難など条件を満たさない限り許可がおりません。
確かに同級生のベトナム人の友達は、これらの条件を満たし、アルバイトをしていました。
国立台湾師範大学の公式サイトにも記載がありますので、参照ください。
▶︎Q & A:外国人学生入学指南
就労ビザで台湾で働くために必要な手続き
台湾で就労ビザを取得して働くのに必要な手続きは以下です。
- 登記簿変更する(必要であれば):14営業日
- 労働許可証(工作許可)を取得する:10営業日
- 就労ビザ(工作簽證)を取得する:5営業日
- ARC(居留證)を取得する:14営業日
台湾入国後1、2、3、4の順番で申請していきます。
申請作業は1をやらないとしても、半月程度かかるので、資料の準備は早めに始めたほうがいいです。
各書類の申請条件・場所・書類
ここから、一つずつ申請場所や書類、ポイントを紹介していきます。
台湾の法律はけっこうな頻度で変更が入ります。
また、担当者によっても書類が異なることがあるので、必ずしもこの通りにいかないこともあります。
最低限準備しておく資料という観点で参考にされていただければと思います。
違う視点からいうと、結構担当者によって融通がきいたりします(笑)
登記簿変更する(必要であれば)
もし経理人など役職をつけて労働許可証取得を行う場合、登記簿に情報を記載しておく必要があります。
一般スタッフとしてビザを発行する場合は、この作業は必要ないので、飛ばしていただいてOKです。
登記簿への経理人追加は、台北であれば市政府へ書類を提出し、手数料1000元で手配してくれます。
ただ、海外企業の場合、南投事業所管轄になるため、更新に時間が掛かる可能性があります。
以前、登記簿情報変更を行った際は、2週間ほどかかりました。
登記簿変更書類の申請場所
申請場所は市政府1階にある「台北市政府商業處」になります。
台北市政府商業處
電話:02-2720-8889
時間:9:00 – 17:00
住所:110台北市信義區市府路1號
必要書類はそこまで難しいものはありません。
登記簿変更に必要な書類
- 会社登記変更申請書(原本)
- 経理人身分証(コピー)
- 変更登記表 2部
- 代表者の同意書(原本)
- 申請費用 1,000元
ビザの出し易さから、経理人に置く会社も多いです。
もし役職を与えてビザを発行する場合は、気をつけてください。
労働許可証(工作許可)
台湾入国後 or 労働ビザ有で雇用されたら、まずやらないといけないことは「労働許可証」申請です。
申請から取得完了まで、スムーズに行けば10営業日ほどです。
労働許可証の取得条件
労働許可は申請すれば取得可能というものではありません。
職業内容によっても異なってきますが、基本的に以下の条件を満たしていないと許可がおりません。
- 専門技術職での申請であれば、その資格証明を所持していること
- 4年生大学を卒業した場合、2年以上働いたことがある
- 短大、専門学校、高卒の場合、5年以上働いたことがある
- 海外企業から派遣された場合、その会社で1年以上働いたことがある
- 台湾国内4年生大学を卒業、もしくは、日本で修士号または博士号を取得していること
職業経験は台湾で行う仕事内容と関係していないといけません。
そのため、台湾で職探しをされてる方は、日本での職務経験を考慮し、雇用主は採用条件に過去の職務経験と最終学歴条件をしっかりと記載しておいたほうがいいです。
労働許可証の申請場所
申請場所は「勞動部勞動力發展署」です。
台北の場合は、MRT西門町の北側のビルの10階(台糖台北会館のビル)にあります。
勞動部勞動力發展署
電話:02-8995-6000
時間:8:30 – 17:30(月〜金)
住所:100 臺北市中正區中華路一段39號10樓
必要書類(経理人、一般職は申請書が変わります)
- 工作許可申請書
- 受聘僱外國人名冊
- 雇用契約書(中国語)
- 在籍証明書(原本)
- 会社の登記簿(コピー)
- 会社の所得証明(コピー)※国税局で申請(1週間かかります)
- 本人の卒業証明書(コピー)※中国語の添付が必要です
- 会社の代表者の身分証(コピー)
- 本人のパスポート、居留証(コピー)
- 手数料(500元)※労働部で支払い
コピーの場合、全ての書類には社印と代表印を捺印します。
職業や役職によって必要書類や申請書が違いますので、詳しくは公式サイトをご覧ください。
申請は基本的には会社が行います。ただ、個人的な書類もあるため、申請書提出時に本人に同行してもらうとスムーズです。
ちなみに「外國專業人員工作許可申辦網」でネット申請も可能です。
参考リンク:
▶︎勞動部勞動力發展署の公式サイト(中国語)
▶︎一般外國專業人士在臺工作 > 專門性或技術性工作(中国語)
労働ビザ(工作簽證)
労働許可証が降りたら、労働ビザの申請に進みます。
申請から取得完了まで、スムーズに行けば5営業日ほどです。
ここで裏技的なポイント!
ビザは台湾へ目的をもって入国するためのものです。
- 学生ビザ:勉学の目的で入国
- 労働ビザ:就労の目的で入国
学生ビザなど、何らかのビザをすでに所持し(入国済み)、労働ビザへの切り替えを行う場合、労働ビザ申請は必要ないことがあります!
私はビザなし入国でしたが、スタッフは学生ビザからの切り替えでした。
その際、窓口で就労ビザ申請が必要ないと言われ、直接次の居留証申請へ進みました。
ただ、担当者によって変わってくるので、しっかり窓口の方へ質問する方がいいと思います。
就労ビザの申請場所
申請場所は、MRT善導寺にある「外交部領事事務局」になります。
外交部領事事務局
電話:02−2343-2888
時間:8:30 – 17:00(月〜金)
住所:10051台北市中正區濟南路1段2-2號
必要書類
- パスポート(原本、コピー)※入国スタンプ&写真のページ
- ビザ申請書(原本)
- 6ヶ月以内のカラー写真(2枚)※1枚は申請書に貼り、もう1枚別で渡します
- 労働許可証(原本、コピー)※原本は確認後返却されます
- 手数料(2400元)
申請書はインターネット上の「簽證線上填表」作成サイトから作成します。
よく健康診断が必要と言われていますが、日本人の場合、健康診断は不要でした。(2016年9月時点)
もしかしたら、職業にもよるのかもしれませんので、ご確認ください。
ビザの種類は「停留ビザ」で十分です。(停留ビザ申請後、すぐARC申請が可能なため)
仕事目的でビザを取得するので訪台目的は「應聘」。
パスポート原本を一度提出するので、申請期間の2週間ほどパスポートがないので、気をつけてください。
参考リンク:
▶︎外交部領事事務局の公式サイト(中国語)
▶︎外籍人士來台應聘申請停留簽證手續說明(中国語)
ARC(居留証)
学生用の居留証申請でもよくお世話になる居留証。仕事の時も同じ居留証の申請が必要です。
ただ取得理由が違うので、揃える書類が違いますので、気をつけてくださいね。
申請から取得完了まで、スムーズに行けば14営業日ほどです。
居留証の申請場所
居留証の申請先は、台北だとMRT小南門近くにある「內政部移民署」です。
內政部移民署
電話:02-2388-9393
時間:8:00 – 17:00(月〜金)
住所:100台北市中正區廣州街15號
必要書類
- 外國人居(停)留案件申請表(原本)
- 1年以内のカラー写真(1枚)※申請書に貼る
- パスポート及び就労ビザ(原本、コピー)※ビザ&写真のページ、原本は確認後返却されます
- 労働許可証(原本、コピー)※原本は確認後返却されます
- 住居の契約書(原本、コピー)※原本は確認後返却されます
- 在籍証明、転職の場合は、離職証明(原本)
- 手数料
居留証の申請には「住居の契約書」が必要です。
民宿などにまず滞在し、ゆっくりと家を探す学生などを見かけますが、仕事の場合、家が決まっていないと居留証は発行できないので、全ての申請を行う前に家探しを完了しておくことをお勧めします。
在籍証明は、政府のサイト「在籍証明」からダウンロードして使用できます。
このテンプレートじゃなくて、自分たちで作ってもOKです。
その場合「在籍証明」の文字をどこかに入れておいたほうがいいです。
手数料は更新の年数によって変わります。
- 1年:1000元
- 2年:2000元
- 3年:3000元
※2018年法改正があり、最大5年まで申請が可能になりました!
申請用紙は移民局においてありますが、事前に書いておきたい方は「外國人居(停)留案件申請表」からダウンロードできます。
参考リンク:
▶︎內政部移民署の公式サイト(中国語)
番外:保険に加入
居留証まで取得できたら、台湾の労働保険に加入することができます。
雇用主は雇用開始日に保険加入書類を保健局へ提出しなければなりません。
会計士さんから渡されたら、出来るだけその日に郵便局へ出しに行ってくださいね。
保険カードを新規で作成する場合は、居留証ができたらすぐに保険証を取得しに行きましょう。
初回は手数料無料です。場所は、台北駅の前の「中央健康保険局」になります。
中央健康保険局
時間:8:30-12:30、13:30-17:30(月〜金)
電話:02-2523-2388
住所:100台北市中正區公園路15之1號
▶︎その他保健局アクセス情報はこちら(中国語)
番外:人材が離職する場合
離職する場合、就業服務法(第56條)、 雇主聘僱外國人許可及管理辦法(第45條)の規定により、会社は雇用契約満了日(離職日)から3日以内に労働部へ通知が必要です。
Q4: 有關解聘(終止聘僱關係)或離境應於何時辦理?
依就業服務法第56條暨雇主聘僱外國人許可及管理辦法第45條規定,外國人同意解聘或離境,應於3日內通知當地主管機關、入出國管理機關及警察機關,並副知勞動部。引用:常見問答 – 解僱、轉聘、兼職より
以下の資料を提出する必要があります。(因聘僱關係終止(或終止履約)申請辦理解聘外國人應備文件?より)
- 申請書
- 労働許可証コピー(大小章)
- 居留証コピー(大小章)
- 解約同意書(大章)
申請書は、役職や役割によって変わりますが、雇用の際の就労許可証申請時と同じ書類で、選択項目「提前解聘」を選びます。
申請場所は就労許可証を申請した「勞動部勞動力發展署」。
労働部への申請(提出してから、内容問題なければ受理完了まで14日かかります)が完了すると、移民局へも連絡が行くようです。
以下、雇用主も離職者もめちゃめちゃ大事なので、気をつけてください。
やらないと法律違反となります。
・離職日3日以内(事前申請も可能)に労働部への通知。
・念のため、警察機関、移民署、会社の所在地の労働局へ通知。
・離職日に全民保険などから離職者を抜く(勞健保退保申請書類を労働部へ提出)。
・離職日14日以内に居留証返却やビザの切り替え
ちなみに、5年間「連続で」働かないと永久居留証申請ができないので、離職する場合は、すでに申請可能な日数が過ぎている方を除き、転職を強くオススメします。
ここで求職者ビザに切り替えてしまうと、雇用期間が途切れることになり、また1年目からカウントされます。
永住居留証取得を考えていない方や結婚等されるイレギュラーな方なら話は別ですが。
参考:【台湾に住む】7年目でついに取得!永久居留證(APRC)のメリットと取得方法
それと、離職のタイミングにより確定申告の支払いも関係してきます(本人が台湾にもういない場合どうするかなど)ので、国税局や会計士さんなどにご相談ください。
まとめ
今回は台湾で働くのに必要な書類をまとめてみました。
まとめると、労働ビザで台湾で働くために必要な手続きは
- 登記簿変更する(必要であれば)
- 就労許可証を取得する
- 就労ビザを取得する
- 就労目的での居留証を取得する
となります。
2018年6月から就業ゴールドカード(就業金卡)が始まり、外国人が台湾で働く利便性が上がりました。就業ゴールドカードは「労働許可証」「ビザ」「居留証」「入国許可証」の4つが一つになったカードで、期限は1〜3年です。
そのため、それぞれの手続きに影響が出る可能性があります。
▶︎就業ゴールドカードについてはこちら(中国語)
私が、台湾留学の後、就労許可証を取得して働くようになったのは今からかれこれ約3年前。
あの頃は会社もまだ立ち上がったばかりで、スタッフは私だけ。
中国語もまだまだ満足にできないし、わからないことだらけだったけど、がむしゃらで、いろんなところへ出かけて楽しかったなぁー。
足を動かして、実際に自分で体験する業務や作業がなんだかRPGみたいでした。
申請書がちゃんと政府に通ったら頭の中で「ジャンジャジャーン」とレベルアップの音が響くみたいな(笑)
まだまだそんな未知の領域へ挑戦していけたらなと思っています。
少しでもこれから台湾で就職しよう、会社を立てようとされている方のお役に立てれば幸いです。
台湾進出にあたり駐在員として配置する方へこんな本をお勧めします。
私も台湾人との関わり方、海外ビジネスについて悩み様々な本を読み漁りました。
力になれればと思います。もし、台湾進出で駐在員となられる方いらっしゃいましたら是非ご連絡ください。