【イベント】世界の原住民芸術家が歴史や社会をテーマにした作品展「泛‧南‧島藝術祭」

文化・アート

美術館や展示会巡りが好きなブロガーRie(@rieasianlife)です。

時間があれば、旅先でも博物館や美術館の催しを確認してるんですが、11月に高雄に行った際、面白そうな展示会があってたので行ってみました。

現在はもう展示されてないんですが、ネット上で作品の詳細を見ることもできます。(ページ一番下あたりにURL掲載してます)

 

今回の展示「泛‧南‧島藝術祭」の詳細

 

2021/7/17-11/14に高雄市立美術館で開催されていた《泛‧南‧島藝術祭》をみてきました。

この展示は、台湾、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本、パキスタン、フランスなど合計23組の芸術家が参加している展示会。

今回の展示会作品は「南方」と「島」をテーマに「流動(流れ)」と「游離(原子化みたいなイメージ)」という概念で紐解いていくもの。

全世界の文化を血緣(血統)、語言(言葉)、族群(民族)などを使って表現されていました。

入場料金は大人90元。

私がいった時、ちょうど無料の解説ツアー(イヤホンレンタル30元)が開催されてたので、一部ですが作品の背景などを聞きながら見ることができました。

今回は、その解説されていた作品をご紹介します!

 

Jonathan Jones【無題】

 

強納森‧瓊斯(Jonathan Jones)【無題(達拉馬林)】

木はオーストラリアのアボリジニの一つであるウィラドゥリ族の中で重要なもの。

男性の成人になる儀式を司る精霊「達拉馬林(ドロモリン)」とも関係があるそうです。

この作品はそんな達拉馬林の物語が、木材でできた棒と木の皮を写した墨絵で語られています。

 

 

林介文【我的身體半座山】

 

林介文【我的身體半座山】

台湾のブヌン族に伝わる編み物をベースに作られた女性の方の作品。

恐竜がいたり、網目の下の方は乳房の形になっていたり、作者の世界というか、万物を守る女神の世界というか、独特な世界観を見ることができます。

原住民の編み物技法は全て目でみて伝え学ぶもの。

作品を通して、消えていこうとしている伝統を少しでも守って行きたいという思いも感じられます。

 

Lola Greeno

 

蘿拉・格里諾(Lola Greeno)

この作品は天然の繊維や貝殻を用いて作られたもので、タスマニアの長老から伝えられたもの。

21種類以上の貝殻を使った技法を学び、伝統工芸を作品で表現されています。

 

Masiswagger Zingrur【談古說今】

 

雷斌(Masiswagger Zingrur)【談古說今】

この作品はパイワン族の芸術家によるもの。

考古学研究から発掘された伝統的な壺には様々な

意味や生活様式を知る手がかりがあったそう。

写真は実際に発掘された数十年以上昔のもので、そこからインスピレーションを得た作品が隣に並べられていました。

 

Yuki Kihara【サーモアのうた】

 

Yuki Kihara【サーモアのうた】

この作品は、着物です!それもそのはず、芸術家のYukiさんは、日本人とサモア人のハーフの方。

カジノキの皮でできた祖母の着物を見つけたことから、振袖をモチーフにサモアの歴史や環境問題などをテーマにしたこの作品ができたそうです。

この5つの作品の後ろには、そのカジノキの着物も展示されていました。

2つの文化の背景を持つ方ならではの視点が描かれた、色鮮やかで細かい、じっくりとみていたい作品でした。

 

 

ちなみに、この方がYukiさん。

自分でモデルもされている写真(角度によって変わります)も展示されていました。

 

 

張恩滿【蝸牛樂園三部曲一 啟航或終章】

 

張恩滿【蝸牛樂園三部曲一 啟航或終章】

美しい緑色の影ができるこの作品は、カタツムリの経路を辿った先にたどり着いた「構樹(カジノキ)」。

最近の研究によると、台湾人が現代人の祖先なのでは?

と言われている研究結果の根拠となっている木です。

海外には、オスとメスそれぞれの木しか存在しないのに、台湾には両方が存在していることから、台湾から海外へ持ち込まれたのでは?ということから来ているらしいです。

 

Ngahina Hohaia【響徹天堂】

 

娜辛娜.霍海亞(Ngahina Hohaia)【響徹天堂】

この作品は光と音で楽しむ作品で、心臓の鼓動のようにドクンドクンという動きをします。

また素材は、ボニネシアの毛利人(Māori)の伝統楽器でPoiという打楽器。

 

終わりに

邱杰森&莫珊嵐《雅加達事件簿》

 

展示は終わってしまったんですが、公式ページで展示された作品について解説を見ることができます。(中国語と英語にて)

高雄市立美術館-泛南島

芸術家:Yuki Kihara/王虹凱/吳思嶔/吳燦政/杉本博司/宜德思‧盧信/拉黑子‧達立夫/東冬‧侯溫/林介文/拉拉‧魯克/邱杰森&莫珊嵐/簡‧金‧凱森/約翰‧普爾/娜辛娜.霍海亞/張致中/張恩滿/強納森‧瓊斯/蒂摩爾古薪舞集/雷恩/雷斌/劉哲安/盧建銘/蘿拉‧格里諾

指導:文化部、海洋委員會、高雄市政府、高雄市政府文化局
主宰:高雄市立美術館
協賛:美術館之友聯誼會、高毓琦、台灣福興文教基金會

 

高雄市立美術館へのアクセスと詳細

高雄市立美術館HPInstagramFacebook
時間 9:30〜17:30(月休み)
電話 075550331
住所 高雄市鼓山區美術館路80號

 

この記事を読んだあなたにおすすめの書籍

山地のポスト・トライバルアート 台湾原住民セデックと技術復興の民族誌 (北大アイヌ・先住民研究センター叢書 4)

ゴンド・アート: インドの民族画

タイトルとURLをコピーしました