展示作品だけでなく、建築物自体の鑑賞も好きなブロガーRie(@rieasianlife)です。
今回は、前回の記事で紹介した展示「泛‧南‧島藝術祭」が開催されていた高雄市立美術館(通称「高美館」)をご紹介したいと思います!
ここは展示だけでなく、建物内至る所にも作品が飾られていて、それだけでも楽しかったですよ!
展示イベントはこちらで詳しくご紹介してるので、こちらの記事もどうぞ!
【イベント】世界の原住民芸術家が歴史や社会をテーマにした作品展「泛‧南‧島藝術祭」
高雄市立美術館について
高雄市立美術館(高美館)は、1990年代にできた台北の台北市美術館(北美館)、台中の國立臺灣美術館(台中國美館)につぐ、台湾3大美術館の一つ。
1994年に台湾の有名建築家陳柏森、盧友義により設計されていますが、老朽化や水道工事等で悩まされていました。
2017年に行政法人の変革があり、「蛻變與新生Transformation & Rebirth」をテーマに国内外のデザイナーたちがコンペを行い選ばれたアメリカの「Oyler Wu Collaborative」と台湾の「賴人碩建築師事務所」により合同で新しい形の美術館として生まれ変わりました。
新しいイメージがあったのはこのためだったんですね。
建物周りに広がる広大な自然(総面積なんと8,318坪!)を生かしたデザインをされていたり、台湾特有の「騎樓」をイメージしたデザインもあります!
参考: 翻轉高美館形象!Oyler Wu Collaborative與賴人碩建築師事務所,以「騎樓」概念打造親近大眾的外觀設計
今回は、展示会を観に行ったので、今度は敷地全体を散歩してみようと思います。
それでは、美術館までの行き方と見てきたアートたちをご紹介します!
最寄駅はわかりやすく「美術館駅」
最寄駅は、電車の「美術館」駅か、施設の入り口に停まるバス停「高雄市立美術館」。
電車の駅のホームは地下なんですが、地上に上がっていくにつれて、吹き抜けの光で明るくなっていきます。
また、駅構内にはこんなアート作品もちらほらと展示されていて、もうここから芸術巡りは始まっています!
入り口まで運動を!
電車の最寄駅とは言いますが、美術館の入り口までは結構歩きます。
最低でも10分くらいは歩くので、もし歩くのがつらい方やご高齢の方は、そこからタクシーを呼ぶか、入り口に停まるバスでいきましょう。
ただ、駅から美術館までの間に幾つかカフェやレストランもあるので、そちらもおすすめですよ。
【高雄:美術館】イギリスの図書館みたいなカフェチェーン店「Caffaina 卡啡那 美術館店」
駐車場を抜けて、こんな可愛らしい看板が見えたら、もう少し!
ちなみにこの看板には
- 一般健走 90公尺/分鐘(普通の人が歩いて、分速90m)
- 活力健走 120公尺/分鐘(元気な人が歩いて、分速120m)
と書かれています。運動を促すアートかな?
この看板を左手に見て真ーーーっすぐ進みます。
よくここでフリーマーケットなどのイベントも開催されてるみたいですよ。
バス停が右手に見えれば、左手に大きな入り口が見えてきます。
やっと高雄市立美術館に到着!
ここが目的地の「高雄市立美術館(KAOHSIUNG MUSEUM OF FINE ARTS)」。
敷地がでかいからか、入り口も看板もめちゃめちゃでかいです笑
建物にたどり着くまでにも幾つかモニュメントが展示されていました。
ちなみにこの鹿?みたいなやつは、現代芸術家の梁任宏さんの「反(一ㄥˋ)派」という作品。
この時は動いてませんでしたが、後から調べてみたらこの作品動くらしい・・・。
他にも野外作品は40種類を超える数が設置してあるそうですよ!
それでは、美術館内へ
館内に入るとすぐ天井にはこんなアート作品が。
美術館の見学有料なので、中に入ったら左手にあるカウンターに向かってください。
カードみたいな紙製の入館チケット
入場料は、以下でした。
- 一般客:90元
- 大学院以上の学生、65歳以上の高齢者、20人以上の団体客:45元
- 高雄市立美術館会員、中学生以下などは無料
あと、高雄市民は平日は無料で、祝日も優待があるみたいでした。
また、定期的に予約不要の展示ガイドもやってるので、その時に使用する音声機器も借りることができます。(レンタル料30元)
定員制館内ガイド(40名まで)火~土:10:30、14:00、日 曜:10:30、14:30
詳しくは美術館のガイドの紹介ページをご覧ください。
設備や常設展示を見てみましょう
入館カードを購入すると大きなガラス張りのドアがあり、そこに警備員さんがたってます。
入館チケットを見せると通してくれますよ。
ちなみに、トイレは入ってすぐ左側奥にありました。
今回見てきたのは写真の下にちょこっと写っている「泛‧南‧島藝術祭」というもの。
気になる方はこちらの記事をチェックしてくださいね。
【イベント】世界の原住民芸術家が歴史や社会をテーマにした作品展「泛‧南‧島藝術祭」
気持ちがいい吹き抜けの空間は、地下から4階まであります。
さすが高雄、階段やらなんやらがとにかくでかい!
階段や壁は大理石でしょうか。
階段も空間も贅沢に広さを取られて設計されています。
この時は特に何も展示はされてなかったんですが、入ってすぐのこの空間も作品が展示されるそう。
この長ーい巨大な書ももちろんアート作品。
「九萬里風鵬正舉」と書かれており、詩人の余光中(1928年-2017年)が高雄市立美術館のためによんだ詩を書家の董陽孜が書かれたもの。
詳しくは公式サイトで、貴重な余光中さんの動画と共に解説されていました。
典藏奇遇記 : 藝想天開詩與樂 ──〈筆轉陰陽〉余光中:中国語
これは、台北の中山堂(西門町にあるよ)にも展示してある黃水土の「水牛群像」(1930年)。
黃水土は台湾で有名な芸術家で、農民の生活や自然の美しさを表現しているブロンズ作品が多いです。
この「水牛群像」は、第11回 美術展覧会に出品するため製作していたものですが、制作の最中に疾患により亡くなってしまい遺作となった作品。
1つ目は中山堂にあるんですが、それをもとに文建會(今の文化部)が1983年に複製して作り、その後1995年に黃水土百年誕生記念展を行った際にここに寄贈されたそうです。
これは2007年に作られた拉黑子・達立夫(Rahic Talifo)の「無近・無盡頭(Never Approaching, Never Ending)」という作品。
花蓮の阿美族の芸術家で、流線型の流木の木片の間に丸い玉がバランスよく配置されて天井から吊るしてありました。
これ自体もすごいんですが、個人的には、ここに当てられた照明でできた影がすごく好きでした。
ここは2階にある高雄市立美術館の館長だった李俊賢(1957~2019)さんの展示「八個浪-年表文獻區」。
美術館自体は1985年に議会から決議され建設が決定、1994年にできました。
高雄に美術拠点を作ろうと奔走されていた李俊賢さんの物語です。
(李俊賢さんも情熱的な台湾魂のこもった油絵などを描かれる芸術家です!)
着想から建設に至るまでの流れと当時の新聞記事などが展示されていました。
今回は行けなかったんですが、レストランやお土産ショップももちろんあります!
オリジナルグッズなども作られていて、Pinkoiでも販売されていましたよ!
おまけ「南方作為相遇之所」
ちょうど展示していた「南方作為相遇之所」という展示も見てきたんですが、これがまたよかったので、少しだけご紹介。
2019年10月26日〜2022年5月8日まで開催中の長期展示。
高雄市立美術館が所蔵している1930年〜1960年の作品を展示しています。
それも、海外の作品ばかりかと思いきや、台湾の有名な方々の作品が多く展示されていました!
特に感動したのがこれ!!!
1943年に完成した屏風の作品、林玉山の「獻馬圖」本物です!!
林玉山は、第1屆台灣美術展覽會に入選した郭雪湖、陳進と並ぶ台展三少年の一人。
台北市立美術館で開催されていた「走向世界」にて郭雪湖、陳進の作品は見たので、最後の一人林玉山の作品も見たいなと思っていたところ、今回偶然にも遭遇しました。(「走向世界」についてはインスタで紹介してます)
しかも、こんな風にVRを使って、動画と音声で作品の背景や歴史を解説してくれます。
すごく面白くてわかりやすかった!!!!
他にもこの作品は1931年に描かれた張啟華さんの「旗后福聚樓」。
当時日本美術學校の学生だった張啟華さんが夏休みに台湾に帰省した際に描いた作品で、これも第七屆臺灣美術展覽會で入選を果たしています。
旗后は日本時代に高雄で一番最初に栄えたエリアで、当時の様子を歴史とともに解説してくれました。
旗后福聚樓についてはこのページでも解説してありました(中国語)。
本当、歴史って面白い!!!
高雄市立美術館へのアクセスと詳細
高雄市立美術館(HP、Instagram、Facebook)
時間 9:30〜17:30(月休み)
電話 075550331
住所 高雄市鼓山區美術館路80號
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