博物館、美術館巡りが好きな台湾在住ブロガーRie(@rieasianlife)です。
今回ご紹介する施設は、高雄に2018年冬にできたばかりの現代美術館。
先日の春節旅の時に初めて行ってきたんですが、歴史が詰まった施設も展示も本当に素晴らしい施設でした。
どこにあるの?外観は?
場所は、鹽埕埔の駅から徒歩10分くらいの場所と少しだけ歩いていくには遠い場所にあります。
ただ、美術館のすぐ目の前に新しい駅が建設中なので、これが出来上がったら、アクセスはもっと便利になると思います。
この建物は、1967年にできた金門馬祖の最前線へ向かう軍人の本島最終中継基地としてもうけれられていた軍事施設。
つまり、ここは家族や恋人と離れて金門馬祖の宿舎へと旅立つ軍人の別れの場所としても使われていた悲しい歴史がある場所です。
金門馬祖の部隊が撤退した跡、しばらくは使われていなかったのですが、2018年11月に現代美術館として復活しました。
入場料金は、私立美術館なので、少しだけ高めです。
- 大人:250元(カフェ50元割引あり)
- 子供:150元(カフェ30元割引あり)
- セット券:500元(カフェ500元割引あり)
もしお昼も食べられるなら500元のセット券を買うのがおすすめです!
常設展示
過渡 Crossing
常設展示「過渡 Crossing」は同じ空間に「過渡・一(張慧婷、伍韶勁)」と「過渡・二(伍韶勁)」があります。
この展示に添えられている言葉
「我們看着的不是金馬賓館。」曾經待在這裡的軍士官說:「它是個中轉站。」
「私たちが見ているのは金馬賓館ではない。」ここで待機していた軍士官たちは「ここは中継駅だ」と言った。
一の方は、上の写真のようにガラスの丸い板がズラーっと壁に埋め込まれています。
それは、軍事施設だった頃の戦場に立つ軍人や家族の手紙。
一つ一つを読みながら当時の悲しい別れや生活状況などが垣間見れます。
決して楽観的な楽しい展示ではないですが、ここで起こった歴史を知る重要な気持ち資料の一つ。
ちなみに、このガラス版はまだまだ空白が残っていました。
これからもっと文章が増えていくのだと思われます。
二は真っ暗で写真を撮っていないんですが、水と高雄港の音が流れ、光が横にすーっと流れていく動きのある作品でした。
美術館公式YouTubeに紹介動画がありました。
Crossing|Permanent Exhibition|Kingsley Ng・Stephanie Cheung
科林斯運河《鑽石(菱格)》
次の常設展示は、アメリカの現代芸術家ジェームズ・タレル(James Turrell)の科林斯運河(コリントス運河)の「鑽石(ダイアモンド)」。
鑽石は2016年の作品ですが、科林斯運河は2004年に発表された作品の中で最大のガラス作品。
空間に入って、椅子に座り音と青い光をボーッと眺める作品です。
壁に添えられていた言葉は
我希望去創造一個環境讓你看見,並成為你的經驗
私はあなたに創造的な環境を見せたい、それはあなたの経験となる。
海の街、高雄を象徴する海運に関する芸術作品でした。
この作品は10:00-12:30、14:30-17:00の間のみ見学可能です。
自由畫派
この作品は美術館の創業者邵永添さんの作品「自由畫派」。
1回のこの部屋には、200缶以上の絵具を使用し、筆、歯ブラシ、ストロー、棒、生姜削りなどの機材を使用し、塗る、垂らす、吹き付ける、打つなどなどいろんな手法で書いた作品が15作品展示されています。
添えられていた説明文にはこんな言葉がありました。
「藝術無絕對,但是一定帶給觀者幸福、快樂,甚至燃起對生命的渴望與熱情」
芸術には絶対はない、ただ見た者をを幸せに、楽しくさせ、生命の渇望と情熱を必ず燃えたぎらせる。
この作品には、創業者から芸術家の後輩たちへ向けた応援のメッセージがこもっています。
本当に素晴らしい作品がズラーっと並んだ空間で、全て違います。
ちなみに、私が好きだった作品は「鬥志 Indomitable Spirit」「過客 Passerby」「元始 Origin」でした。
自分の好きな作品を探してみてはいかがでしょうか。
施設内の至る所がフォトスポット
展示以外の敷地自体もどこもかしこもフォトスポット。
軍事施設として立てられただけあって、ピリッと静かにまっすぐ続くテラス廊下はかなり美しいです。
コンクリートの建物ですが、所々にこんな感じでレンガの壁もあり、その奥から暖かい太陽の光が入り込む全面ガラスの窓。
高い天井の階段にある窓は、なぜかこんな長方形の長い形。
この窓は寿山側を向いているのですが、当時の軍士官たちはこの窓から何を思って外を見ていたのでしょうか。
ちなみに、トイレも清潔でかなり綺麗でした!(これ大事)
この時やっていた展示
私が行った時、2つ日本人の方の展示をやってたので、ご紹介します!
一つ目は、現代美術家の「嶋本昭三(しまもと しょうぞう)」さん個展「跨越藝術邊界」。
2階のワンフロアを使ってかなりの数の作品が世界各国から集められていました。
嶋本昭三さんは、日本戦後芸術運動には欠かすことのできない芸術家の一人。
正直この展示を見るまで知らなかった方だったのですが、展示作品や説明の文章を読んでいるうちにその激しい情熱と少しプロパガンダに似た破壊的なパワーに圧倒されました。
正しく「芸術は爆発だ!日本人版」っていうイメージを持ちました。
特に印象に残ったのは、映像作品として流されていた「具体映画」という作品。
元々はニュース映像のテープをもらい、組み合わせて映像作品として作られていたんですが、そのテープ実は天皇陛下の言葉が入っていて、2本を組み合わせて作った作品だったため、公開まで気が付かず、出来上がって映像関係者に指摘されて気付き、当時政治に全く関心がなかったので、驚かれたようです。
作品だけでなく、そんなエピソードも面白かったです。
3階ワンフロアで開催されていたのは、デザイナー鎌田治朗さんの個展「VOICES 語音」
鎌田治朗さんはドイツに拠点を置いて活動されているジュエリーデザイナーで、今回の展示はたくさんの個性的なアクセサリーがキラキラな世界の中に展示されていました。
まずこの部屋の色遣いと形が可愛い!!!!!
少しノスタルジックな暖色の蛍光灯でキラキラなガラスと光の世界に入ると自然とテンション上がりました。
そのガラスアクセの反射でこんな写真も撮ったりして笑
それと別のブースはもっとシンプルな光と影の世界。
こちらはカラフルではないですが、そのガラスと繊細な影がとても綺麗でした。
カフェでランチも最高!
美術館には併設しているカフェがあります。
場所は、受付のちょうど真向かい、展示棟の隣に立っている建物になります。
2階から入る入り口はこんな感じ。
この看板の左側突き当たりにはトイレがあります。
カフェは、食事だけでなく、MTGスペースや展示会をされている芸術家の書籍などのショップにもなっています。
天井も高くて視界が広く、気持ちがいいです。
カフェにも作品が展示してありました。
邵永添さんの作品っぽいので、この辺は常設展示かな。
このグラデーションの太陽の絵(?)も素晴らしかった・・・!
絵が一つあるだけで、空間が明るくなりますね。(この絵欲しい・・・高そうだ)
入り口すぐ近くの棚にグッズが販売されています。
芸術家さんの関連商品以外に美術館のオリジナルアイテムもいくつかあります。
ちょうどお昼だったので、お昼セットの500元券を購入し、ランチをしました。
もしランチされる場合は、このチケット本当におすすめ。
セットチケット代500元なんですが、カフェで500元割引されます。
軽食からガッツリ定食まで用意されており、値段は安くなく高すぎずって感じです。
東寶啤酒燒肉飯 550元
これすっごく美味しかったです!メインだけかと思いきや3種類のおかずとスープ、フルーツもついています。
しかも、おかずも上品で手が混んでいる繊細なもので、ホテルでランチをしている貴婦人になった気分でした笑
しかもチケットで500元割引・・・!
+80元でドリンクつけれたので、紅玉紅茶(定価180元)をつけました。
展示は結構長くやられているみたいなので、あまり高雄に行けない私には嬉しい周期!
次回の展示が変わったらまた行こうと思いますー!
YouTubeでも美術館の様子をご紹介してます(チャンネル登録もよろしくお願いします!)
※動画内で、2019年できたって言ってたんですが、2018年の間違いでした!ごめんなさい!
金馬賓館當代美術館へのアクセスと詳細
金馬賓館當代美術館 ALIEN Art Centre(公式サイト、Facebook、Instagram)
時間 10:00〜18:00(月曜休み)最終入館は17:00まで
電話 07-976 6309
住所 高雄市鼓山區鼓山一路111號
入場料 大人250元、子供150元
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