イベントや展示会が大好きなブロガーRie(@rieasianlife)です。
6/10〜19の9日間限定で台湾の北東部にある港町「基隆」で開催されていた「2022 城市博覽會」に行ってきました!
めちゃめちゃコンテンツが多くて全部は見切れなかったんですが、その様子をかいつまんでご紹介します!
(かいつまんでますが、それでもかなり多いのでボリューミーです!)
2022 城市博覽會について
今回開催された「2022 城市博覽會」は、基隆市政府が念願果たして開催したイベント。
元々は2021年10月に開催予定だったんですが、コロナの影響もあり延期が続き、2022年6月に満を辞して開催したもので、ここ数年にわたり都市改革に力を入れていた基隆市政府にとって、このイベントはかなり熱のこもった、期待と発表の場だったのは言うまでもありません。
基隆市長さんの熱い思いは、馬祖藝術季の記者会見で行われた3都市市長対談でも伝わってきた内容の一つでした。
3都市市長対談について詳しくはこちら→ 【レポート】2月開催!「馬祖国際芸術島」記者会見とシンポジウムに参加してきた
公式サイト| https://www.2022cityexpo.tw/
開催期間|2022年6月10日〜19日
主辦單位|基隆市政府
承辦單位|基隆市政府觀光及城市行銷處、基隆市政府產業發展處、基隆市文化基金會、台灣港務股份有限公司基隆港務分公司、國立海洋科技博物館、台灣電力公司
今回のテーマは「起點城市(都市の起点)」台湾を知るには、まずは基隆から!
1626年大航海時代「北雞籠南大員」の世界史が始まり、台湾に鉄道ができ、高速道路が走り、都市が始まりました。(雞籠=基隆)
台湾で初めての港町で、海外との交易ができ、台湾文化、歴史と現代都市の重要起点となった場所。
しかし、ここ数年では、基隆は首都台北から少し離れた場所にあることもあり、高失業率、高離婚率、高自殺率と三高と呼ばれる都市に・・・。
そこにメスを入れようと2014年から《市港再生標竿計畫》、《大基隆歷史場景再現整合計畫》などを推し進め、より良い都市計画に取り組んできました。
今回の「2022 城市博覽會」はそんな基隆の改革を全台湾、全世界に発表するイベントです。
展示期間は4地区に分かれており、全て期間中は無料の連絡バスで行き来ができるようになっていました。
- A 國門展區
- B 正濱展區
- C 海科展區
- D 沙灣站區
1日でみ終わるには広すぎる範囲だったので、4エリア中2つ「A 國門展區」「B 正濱展區」をみてきました!
夜のライトアップもあったんですが、半日コースではそこまでみれず汗
何人か他の台湾在住日本人の方もいかれてたので、SNSなどでそちらの方々の発信をご覧ください!
B正濱展區
B 正濱展區は、日本時代に建てられた「漁會正濱大樓(漁業行政センタービル)」の跡地にて開催。
このエリアは、7つに分かれていて、それぞれ制作団体が違います。
- B-1 潮藝術-未來島航
- B-2 特展:有一種味道在基隆上岸
- B-3 眺望大基隆歷史場景
- B-4 水產市-被漁滋養的海事盛地
- B-5 小島大歷史-再現聖薩爾瓦多城
- B-6 西班牙諸聖教堂考古遺址展示
- B-7 港邊的煙與結構
- B-8 海派浪漫
- B-9 海上看展
- B-10 正濱海口味
- B-11 大基隆。市
- B-12 Masaopo Kita假日市集
範囲が広いので、今回はB1〜4、イベントのB-11のみ行ってきました!
B-1 潮藝術-未來島航
「永續資料庫(サスティナブル資料庫)」というテーマで、漁業にまつわる素材を使ったサスティナブルアートと基隆の特色に関する展示がされていました。
この展示自体も作品点数も多く、全部見きれていないんですが、写真撮れたものを中心にご紹介します!
指導單位|文化部
主辦單位|基隆市政府、 基隆市文化局
協辦單位|基隆區漁會
策展執行︱宜東文化創意有限公司
〈潮來潮往〉陳淑強
この作品は正濱ビルの中庭に設置されていて「潮來潮往(潮の満ち引き)」というタイトル。
もう使われなくなった漁に使う網や廃棄される道具類をメインに利用して作られています。
海とは切っても切り離せられない基隆を芸術を使って表現。
過去の潮と未来の潮が交差する地点や潮の流れをイメージされたそうです。
この作品はかなり大きいので、見る角度によっていろんな写真が撮れました。
特に屋上から見下ろした写真が好きです。
デザイナー: 陳淑強|CHEN SHU-CHIANG
〈這是一種鹹鹹的味道〉黃榮智
この展示は、「這是一種鹹鹹的味道(これは一種の塩辛い味)」という題名。
上から吊るされた濡れた服と、下にもられた塩の山、流れおちる海水。
海の匂いが立ち込めるこの空間は、みた人それぞれの潮の記憶により感じ方が違う作品。
他にも、ネットが敷き詰められた空間に光る傾向ライトの文字や天井から吊るされたライトに照らされる船から流れ出る海水の作品も展示してありました。
私は、この作品を見て、早朝から働く漁夫たちの労働とそれを洗う家族の様子をボヤーっと思い浮かべました。
他の人はどんな感想を持ったんだろう?
デザイナー:黃榮智|HUANG JUNG-CHIH
〈明日之境〉AMCP Studio
この作品のタイトルは「明日之境(明日の境目)」。
この空間は2249年の未来の福爾摩沙海洋歷史博物館で特別展示をしたら・・・をイメージして作ってある作品。
基隆正濱の近くで出土した200年を超える遺跡を復元した海の水の中に含まれる炭素や化合物をたっぷりと吸い込んだ骨格標本。
この展示により乱獲、環境保護、食べ物の大量消費、地球温暖化など左mざまな問題を放っておいた海の末路を表現されています。
デザイナー:AMCP Studio
〈透抽的指引 Follow the Thàu-Thiu〉紙上行旅
センタービルの屋上からしか見ることができないこの巨大アート!
タイトルは「透抽的指引 Follow the Thàu-Thiu(ケンサキイカのガイド)」。
描かれているのは、漁港の水揚げ場の屋根の上。
このケンサキイカは自然環境の象徴として、三角形の巨大な矢印型の頭で人々のいく方向を指し示しています。
水の流れに浮かびながら、潮の流れに直面し、海との共存を模索、発展を遂げてきた海の民たちの粘り強さもあらわしているそうです。
これはもう一つ敷地内のエレベーターに書かれた灯台と灯台の上から望遠鏡を覗く人のイラストと対になっていて、高い高い灯台の上からケンサキイカの展示へガイドしてくれています。
デザイナー:紙上行旅|TENG YU
B-2 特展:有一種味道在基隆上岸
特に好きだったのが、1階を利用した特別展示ブース。
基隆の独自の食文化を「炒」「烤」「烘」に分けて展示がされていました。
開催期間|6/10〜19、11:00〜18:00
主辦單位|基隆市政府觀光及城市行銷處
總策劃 |左腦創意
策展顧問|曹銘宗、徐仲
策展協力|雨都漫步、丸角自轉生活咖啡
硬體團隊|一百分設計
展示で紹介されていたお店リストのQRコードが置いてあり、展示を見た後店舗も回るのも楽しかったです♪
紹介されていた店舗のGoogleマップ→【 有一種味道在基隆上岸 】店家名單
炒:基隆の咖哩沙茶
基隆特有のグルメ「カレー焼きそば?(咖喱沙茶)」の名店や歴史が展示されてました。
咖喱沙茶って実はこの時初めて知りました!
沙茶って火鍋の調味料としてよく使われるんですが、確かにありそうでない食べ物、台北その他の地域ではあまり見かけたことがない。
ぜひ今度挑戦してみようと思います♪
烤:基隆の伝統菓子
このブースでは、基隆の名物カフェ「丸角コーヒー」がブースを出して、基隆で伝統的な焼き菓子文化を紹介していました。
焼き菓子がどのように台湾にやってきて発展していったのかなどがパネルで紹介されていました。
また、丸角コーヒーブースでは日替わりで基隆にあるバリスタのコーヒー豆が販売されていました。
基隆の伝統菓子の名店といえばここ!
【基隆】1882年創業!100年以上続く超老舗な基隆名物中華菓子「李鵠餅店」
あれ?丸角コーヒーの記事書いてたと思ってたんですが、まだ書いてなかったみたい。ここはよく行くお店の一つなので、いずれ記事で紹介しますね!
烘:基隆の喫茶店文化
ここは、基隆カフェを紹介するブース!
実は基隆は、歴史的背景から台湾の中でもカフェ密集地とされているらしいです(知らなかった)。
確かに、老舗喫茶店をはじめたくさんの個性あふれる個人経営のカフェが詰まっています。
このブースではそれぞれの喫茶店やカフェの歴史となんと各店舗で焙煎されたコーヒー豆の展示がされていて、香りも楽しむことができました。
ここもおすすめ基隆のカフェ!
【基隆】見落としちゃうほどの路地の中にある小さな喫茶店「Ruth C. Coffee 茹糸咖啡」
B-3 眺望大基隆歷史場景
屋上に展示したあったこのパネルは、17世紀にスペイン人が台湾に上陸、19世紀に清仏戦争(1884年)勃発などの歴史を紹介するもの。
ちょうどパネルの向こう側が清仏戦争時にフランス軍艦隊が基隆にやってきた方角だそうです。
パネルは専用のアプリと連動してARで当時の様子をよりわかりやすく見ることができます。
また、私が見に行った場所以外にも、スペイン人が和平島に建てた諸聖教堂(Todos Los Santos Church))の考古学展示「西班牙諸聖教堂考古遺址展示」もありました。
指導單位|文化部
主辦單位|基隆市文化局
策展單位|合方創意
考古團隊|國立清華大學考古團隊
文史合作|雞籠卡米諾
B-4 水產市-被漁滋養的海事盛地
これは1回の施設自体の紹介エリアにあったんですが、説明がネット上にない!
ちょっと資料がなかったので、あれですが、地面には砂が敷き詰められていて、その上にある石を伝って部屋に入り、作品を雰囲気を楽しむというものでした。
コンクリートのテーブルの上に置かれた石?や椅子が窓からの明るい光に照らされてなんだか不思議な空間でした。
B-11 大基隆。市
期間中3日間だけ開催されていたグルメマーケットにもいくことができました。
ここでは、基隆の食材やカフェなどが特別に開発された料理を出していました。
この日はめちゃめちゃ暑かったので、土生土長 On the Groundのヒンヤリスイーツ寒天ゼリージュースを飲んでみました。
シロップ、ドライフルーツ、調味料が数種類あり、好きなものを1種類ずつ選んで、基隆でとれる寒天(石花菜)にトッピングするというもの。
冷たくて美味しかったー!!!!
開催期間|6/17〜19、11:00〜18:00(6/18〜21:30)
公式Instagram| https://www.instagram.com/grandkeelung.thecity/
總策劃 |左腦創意
策展人 |米力
策展顧問|徐仲
硬體團隊|青石創意
〈祖母的海膽〉路瓦里維拉
正濱ビルから少し歩いたところにある、正濱漁港はフォトスポットとしても有名な場所なんですが、ここにも作品が設置されていました!
「祖母的海膽(祖母のウニ)」というタイトルをみてこれがウニであることを知りました笑
ウニは、漁獲量が減っていっているのと基隆海域の海女さんたちもどんどん減っていってるそうで、この作品はどんな場所からも見ることができるので、そんな海辺の生活を営む伝統的な風景の美しさを表現したそうです。
デザイナー:路瓦里維拉|Lua Rivera
指導單位|文化部
主辦單位|基隆市政府、 基隆市文化局
協辦單位|基隆區漁會
策展執行︱宜東文化創意有限公司
A國門展區
A国門展は基隆の列車の駅の駐車場近くにある基隆港西二倉庫で開催されていました。
この基隆港西二倉庫は、1932年第二次世界大戦時には爆薬庫として使われていた場所で現在90年経った現在、修復されたそう。
今回の基隆博覧会のメイン会場でメインテーマは「起點城市(都市の開始)」。
中は、基隆の海の音から始まり、賑やかな漁港の様子や歴史資料、現在と未来の基隆の発展の様子などを紹介されています。
專案統籌︱安益國際展覽
內容策劃︱吾然文化有限公司
空間設計︱柏成設計有限公司
沉浸劇場︱叁式有限公司
ちなみに、このメイン会場の空間設計をしたのは、柏成設計。
以前、台湾鉄道の特別観光列車「鳴日」をデザインしたデザイン事務所です!
【レポート】デザインで再復活を遂げた特別観光列車「鳴日 FUTURE」に乗車してきました!
駐車場側から施設に入ると黄色いイミグレーションエリアを横目に建物の中へ。
クルーズ船などが立ち寄る外国からの玄関口としても有名な基隆らしい展示ですよね。
施設内に入ると、博覧会のパンフとスタンプパスポートがもらえました。
このスタンプパスポートの挿絵は、Croter Illustration & Design Studio のもの。
パンフレットはいろんなところで配っていたりすんですが、スタンプパスポートはここでしかもらえません♪
入ってすぐに飛び込んできたのは、6mを超える波が映し出されているディスプレイと、銅板が風で鳴らすペコペコとした音。
芸術家の賴俊廷さんの作品で、30日間海の動きを記録し、AIによって異なる潮の流れを流すというもの。
吊り下げられている長〜いロープは、漁獲の際に使用した廃棄予定だった紐を再利用したものです。
基隆の都市計画の中に「15分鐘城市(15分間の都市)」という概念があるのですが、15分以内で基本的な生活機能が実現するというもの。
この展示を見ることで、コンパクトシティならではの構造や歴史を一気に15分以内で理解することができます。
タイミングよく解説ツアーの時間に遭遇したので、聞きに行ったら、基隆の林右昌市長の解説の時間だったらしく、めちゃめちゃラッキーでした。
ガイド中何度も民衆の方々が質問をすると、直接市長さんがすぐ答えていて距離の近さが半端なかったです。
さらに、市長さんの解説もわかりやすくて面白い;)
いつも思うんですが、林右昌市長って声がすごくいいですよね。
都市計画の発表だけでなく、歴史展示もしっかりされており、これまで基隆にやってきたスペイン、オランダ、原住民たちの文化を考古学体験できるエリアもありました。
この機械は、砂の中に埋められていた遺跡の破片を自分で掘り出して、機械に設置してある観測器の上におくと、その破片がどんなもので、どういうことに使われていたかを説明してくれるもの。
この時は、スペイン統治時代にスペイン人が残していったロザリオの破片をサンプルとして解説してくれました。面白かった!
この銅で作られた町のイラストと文字のオブジェで、みんなここの前で写真を撮ってました。
銅は、基隆の控えめだけど、輝かしい歴史をあわらしているそう。
環境保護もしっかりと考慮された展示会なだけあって、銅板は簡単に電解し再利用できるため、展示が終わった後の資源回収や浪費も考えられて選ばれたそうです。
それとここもすごかった!
叁式 Ultra Combosというメディアアート集団が作った設備なんですが、基隆の都市計画を過去現在未来で見ることができます。
市長の解説によると、基隆市政府が都市計画をする際に、シミュレーションをして未来のことを計算しながら行っているらしく、このようなデジタル技術を用いて綿密に計算していると言われていました。
全ての地形や建物を計測して、ここにビルを建てたらどうなるか、水道や駅は?など、より少ない予算で確実な計画を立てるそう。
機会が設置されており、そのボタンを押すと画面が動き、過去から現在、未来までの都市の様子が一気に変わっていく様子はすごくお面白かったです。
参考: 在「2022基隆城市博覽會」探索你不認識的港都基隆!海上遊船逛展、市集、沉浸式體驗推薦一次看
それと、出口付近に設置してあった、この基隆の24時間っていう展示も特におもしろかった!
北部最大の漁港であることや、グルメの多さ、廟の歴史の古さなどなど、今後の参考になりそうな知識もいっぱいありました♡
番外
2022城市博覧会(6/10~19)に合わせて限定公開されていた「林開都大樓」もみてきました。
ここは基隆でも有名な「ホラー屋敷」。
以前、台湾10大ホラー屋敷にも選ばれたことがあるらしいです。
公式Instagram| https://www.instagram.com/maisonlininkeelung/
指導單位|基隆市政府
主辦單位|基隆市文化局
專案統籌|吾然文化有限公司
展示設計|無制設計股份有限公司
燈光設計|瓦豆 WEDO Lighting
專案管理|張櫻馨
視覺設計|陳怡均
內容策劃|張維真、許擎
內容協力|雞籠卡米諾
藝術裝置|阿戴商號花藝設計
宣傳協力|委託行商圈發展協會、委託行街區股份有限公司
林開郡洋樓は、1931年の日本時代に鉄鋼業をされていた林開郡が建てた西洋風建築。
このお屋敷は、基隆愛一路にあり、港を見渡せる最高の立地からも、当時の豪華な生活を垣間見ることができます。
ただ、現在は廃墟だったので、やはり入ってみると不気味です笑
個人邸宅だったため、百年を超える歴史建築は数十年の間廃墟になっていました。
2016年に基隆市政府が成立「老屋偵探社」から、2018年に繪製基隆老屋散步地圖(イラスト古建築散歩地図)ができ、脚光を浴びると、ついに市政府と文化部が着手。
林開郡の子孫と連絡を取り、2020年9月に「文資審議」に入り、文化部の同意を得て「私有老建築保存再生」として修復計画が始まりました。
これからどんなふうに改築されるのか楽しみです;)
参考:基隆「林開郡洋樓」限時開放預約!光照港灣展覽重新點亮90年老古蹟風華
参加した感想とまとめ
以前の市長会談の時からずっと楽しみにしていた都市博覧会。
本当は全エリア見て回りたかったんですが、半日では無理!ここまで規模が大きいとは、想像してませんでした汗
元々、基隆は大好き(北部に住まないといけないけど、台北に出勤しなくていいなら移住したいくらい)でちょくちょく来てたんですが、今回の博覧会を見てさらに好きになりました!
特に都市計画とグルメの展示は、探究心を刺激し、これからの基隆探検のネタとしてもかなり役に立ちました。
2022 城市博覽會の詳細
2022 城市博覽會
公式サイト| https://www.2022cityexpo.tw/
開催期間|2022年6月10日〜19日
主辦單位|基隆市政府
承辦單位|基隆市政府觀光及城市行銷處、基隆市政府產業發展處、基隆市文化基金會、台灣港務股份有限公司基隆港務分公司、國立海洋科技博物館、台灣電力公司