ローカル電車の旅をよくする台湾旅ブロガーRie(@rieasianlife)です。
今回ご紹介するのは、特別な観光列車「鳴日 FUTURE」。
この電車は、一般開放がまだされておらず、乗れる機会が滅多にないんですが、台中ランタンフェスティバルのメディアツアーに参加したところ、幸運にも乗車させていただいたので、その時の様子も含めご紹介いたします!
鳴日 FUTUREについて
「鳴日FUTURE(ミンリー:明日と同じ発音)」は、台湾鉄道が若手デザイナーと協力して、メンツをかけて作った特別観光列車。
「臺鐵美學復興」がテーマになっており、どうして「メンツをかけた」と言われているのかというと理由があります。
まずは、美学復興について。
この特別観光列車「鳴日」の車両は、70年以上使われている車両をリニューアルしたもの。
デザイン(美学)の力を使って、古い車両を新しく復興させたい、そんな思いがこもっています。
続いて、なぜ「メンツをかけた」なのか。
実は、この観光列車リニューアルするのは今回で2回目。
2019年2月に8000万元(約2億9千万円)をかけて大きなリニューアルをし、12月にまた今回のリニューアルをしています。
中国語ですが、この時の新聞記事はこちら
そう、1回目のリニューアルでは、かなりの批判をされてしましました。
せっかく多額の資金を使用しリニューアルしたのに、デザインセンスに対する批判が凄くメンツが丸潰れ(汗)
そこで立ち上がったデザイナーと台湾鉄道の方々の2度目の勝負の結晶でした。
それでは、当日の様子をご紹介!
イベント当日は、台北駅の中にある事務所に集合。
この日は、2020年台中ランタンフェスティバルのメディアツアーも兼ねていたので、報道陣や偉い方々が大勢いらっしゃいました。
初めて台北駅の内部に入ってテンションあがりました笑
VIP専用パスとこの日のスケジュール、ランタンフェスティバルのガイド音声機器もいただき、準備完了です。
スタッフの方々に連れられて、ホームへ。
ここで初めて特別観光列車「鳴日」とご対面です♪
台湾鉄道らしいオレンジとすこしグレーに近い黒の車体、1本スーッと入っている黒いラインもかっこいいです!
外観はオレンジx黒でしたが、車内は青x白で、電車の中というよりも、飛行機の中のようなラグジュアリー感があります。
ブルーの柄のある椅子と大理石のような柄のシートの椅子の組み合わせが不規則に並べられていて、すごくおしゃれ!
窓も大きくて、どの椅子に座っても視界を柱がさえぎらないのも嬉しい。
頭部分は、グレー生地に白いラインが入っており、ワンポイントに台湾鉄道のロゴが白糸で刺繍されていて、とってもセンスが良い。
座席一つ一つのスペースもかなり広くて、椅子を倒せば足をしっかり伸ばせるくらいの広さがありました。
休憩室や食堂車には大理石でできた高級感もあるけれどナチュラルで落ち着く丸いテーブル。
このカーテンは、原住民工芸家「尤瑪・達陸(Yuma Taru)」さんの作品。
四角を組み合わせた模様は山の形をしており、椅子の青は大自然の海洋、山々、大理石テーブルは台湾の石を表現されているそうです。
車内は全体的に丸い形で角のないデザインになっていて、トイレの鏡なんかも可愛かったですよ。
また、照明なども元々は真っ白だったのを少し黄色がかった優しい落ち着いた色に変えるなど細かい改修がされています。
また、歴史ある列車も残したいという思いから、この表示は、日本時代から記載されているマークそのまま活用。
リニューアルで完全に新しくするのではなく、古いものでも素晴らしいものは残したデザインになっています。
説明会開始!
台北から台中までの移動中、メディア向けに電車のプレゼンテーション&説明会が開催されました。
まず、解説してくれたのは、この電車のデザイナー柏成設計の「邱柏文」さん。
室内設計などのデザインをメインにされているデザイナーさんなのですが、この方が今回の特別観光列車のキーパーソンです。
黑川紀章建築師事務所にもいらしたことがある建築デザイン設計士さん。
邱さんは、1回目のリニューアルに対する大批判を知り「自分がデザインの力でどうにかしたい!」と強く思い、人脈の限りの交通関係者に提案のメールを送りました。
メールを受け取った関係者の一人、仕掛け人の「吳漢中」さんの目に留まり「2週間後に提案をするから資料を作れるか?」と持ちかけられ、始まったデザイン革命だそうです。
(ちなみに、吳漢中さんは、先日の台三線芸術祭の仕掛け人でもあります)
次に説明していただいたのは、交通部台湾鉄道管理局の副局長「馮」さん。
馮さんからは、どうしてこのプロジェクトが始まったのか経緯の説明をしていただきました。
この日はメディア開放日。
元台中市長で、現在の交通局部長「林佳龍」さんも同席されました。
めっちゃ近くに座られてドキドキ笑
続きまして、交通局局長の「張政源」さんのお話。
今回テーマになっている「台湾鉄道美学復興」の意味や台湾鉄道の思いをご説明いただきました。
このパワーポンとが今回のプロジェクトをかなり物語っていました笑
1度無くしてしまったイメージ(割れてしまった窓)を少しずつだけど良いイメージ(小さな花瓶の花)へ変えて行く一歩にしていきたい。
このプロジェクトを起点にして、他の各地の復興へどんどん広げていきたいと言われていました。
今回この列車はランタンフェスティバルへの往復で使用されていたので、ここから、ランタンフェスティバル関連の説明。
この方は、開催されている台湾国際光影芸術祭「光之書寫」のキュレーター擷果創意「林長叡」さん。
光之書寫のイベントと作品を紹介していただきました。
最後に、向かっている台中后里の各ランタンの概念や紹介をしていただきました。
ランタンフェスティバルの詳細についてはこちら(↓)で紹介しているので、参考にどうぞ。
【イベント】2020年台中后里ランタン祭りに行ってきました!
オリジナルグッズやイベント限定サービスを受けたよ♪
イベントに参加して様々なノベルティもいただきました♪
泰山が協賛して出された、電車のラベルの限定パッケージの烏龍茶。
鳴日のデザインカラーのマグカップセット。
写真のオレンジと青の他に、緑色の3色ありました。
列車内にはパン屋さんも♪
振る舞われていたのは、2017年に世界大会「2017 Mondial du Pain」で優勝を果たした「陳耀訓・麵包埠(YOSHI BAKERY)」のパン。
このチョコレートは、台湾のお茶を使ったチョコレートを作っているCOFEのチョコです♪
COFEはコーヒーも振る舞われていました。
【台北:迪化街】台湾茶を使用したチョコレートが食べれる隠れ家カフェ「COFE 喫茶咖啡」
説明の途中でお土産でもパンとコーヒーを配られました。
このお姉さんたちの制服も可愛いですよねー!
COFEの紅茶コーヒーとYOSHIベーカリーのパン。
サック作のクロワッサンといちごパイ、すごい美味しかったです♡
帰りの車内では、もうすっかり遅くなりみんなお腹ペコペコ。
おなじみの台鉄弁当が配られました♡
パッケージは台湾ランタンフェスティバル限定!
限定に弱いので、さらにテンション上がりました(笑)
開けてみてびっくり、すごく彩鮮やか!
デザイン列車だからでしょうか?
野菜もたくさん入っていて、おなじみの伝統的な茶色いお弁当とは違い、ヘルシーかつ美味しいお弁当でした!
配られていたお弁当は、2種類。
こちらの排骨弁当の方が台湾鉄道っぽい色合いでした笑
これはこれで、美味しそうでしたが!
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「鳴日」に乗車した感想
今回「鳴日」に乗車させていただいて思ったことは2つ。
- 台湾のクリエイターの方々の熱い思いと行動力は本当にすごい!
- 結構年配の方も多い政府関係の方々が若者の意見を取り入れて一緒になって変えようとしている姿勢が素晴らしい!
これにつきました。
今回のプロジェクトの中に「最近の若者は・・・」的な思想は感じられませんでした。
そこにはクリエイターや仕掛け人の方々が連携して攻める力と、受け入れる政府・企業側の体勢と気概。
両者ともどんどん挑戦し、もっと良くしていきたいという思いを感じました。
昔の素晴らしいものを残しつつ、失敗を改善し、新しいエネルギーを取り入れて作られた「鳴日」はストーリーから完成品の観光列車まで全てが素晴らしいプロジェクトでした。
ただ、この観光列車は完全貸し切りでしか乗車することができず、100人以上でなら貸し切りできるそうですよ。
それも、金額は1回の乗車金額と同じくらいだそうです。
6月に香港の方が結婚式を挙げる予定らしく、すっごい素敵ですよね!
今回も、台三線芸術祭の時からお付き合いいただいているPR会社「株式会社ニンジン国際(寧淨國際)」さんにお誘いいただき参加してきました。
そのおかげで、すごくたくさんの台湾の芸術作品やデザイナーの方々、政府関係者の方々のお話を聞く機会が多いです。
いつもありがとうございます!
もっともっと台湾の素晴らしい作品や物語を日本の方に伝えていきたいなぁー!
また、次回のレポートもお楽しみに!